人工関節置換術

人工関節で、自分らしく活動的に

膝のこんな症状ありませんか?

王寺理事長
理事長 王寺 享弘

「歩き始めや立ち上がるときに痛い」「階段の昇降時に痛む」などの膝の痛み、それは変形性膝関節症かもしれません。「年だから仕方ない」と諦める必要はありません。治療できる病気です。

変形性膝関節症とは、膝の痛みによって歩きづらくなる進行性の慢性関節疾患で、女性に多く見られ、国内では約1000万人の方が患っていると言われています。

加齢とともに膝の軟骨の主に内側がすり減り、関節が変形・破壊して症状が出ます。特に、歩き始めや立ち上がるとき、階段の昇降時などに膝が痛い、膝に水がたまって腫れるなどが特徴です。進行すると、正座が出来なくなり、常に痛みが出て歩行困難に陥ります。

膝の痛みの原因には、変形性膝関節症だけではなく、関節リウマチや半月板・靭帯(じんたい)などの損傷、骨粗しょう症などの場合もありますので、まず整形外科で受診して正しい診断を受けて下さい。

膝のセルフチェック

3つ以上該当する方はご相談を

  • 歩き始めに痛い
  • 30分以上歩くと膝が痛くなる
  • 階段の上り下りのときに痛い
  • 立ち上がるときに痛い
  • 正座がしづらい
  • 和式トイレがつらい
  • 膝が腫れる
  • 膝を動かすとギシギシ音がする
  • 膝のけがによる通院歴がある

膝関節治療の流れ

まずは保存療法、そして手術療法を検討

変形性膝関節症の治療は、一般的に保存療法から行います。太り過ぎないように体重をコントロールし、痛みが出ないよう日常生活を工夫します。

消炎鎮痛剤の服用、外用剤やヒアルロン酸を関節内に直接注入する方法もあります。足底板などの装具を使用したり、大腿(だいたい)四頭筋を鍛える運動療法も有効です。

これらの保存療法を続けても効果がみられない、痛みが強くて非常に不便な場合は手術療法を検討します。手術には、関節鏡視下手術、骨切り術、人工関節置換術があり、それぞれ患者さんの年齢や関節の状態に応じて選択しています。

人工膝関節で本来の動きを取り戻す

日本国内では、年間約8万人を超える人たちが人工膝関節手術を受けています。人工膝関節手術とは、痛んだ膝関節の一部分、あるいは全てを人工的なものと入れ替えて、膝の機能を回復する方法です。

当院は年間300件以上の人工関節置換術を行っています。安全管理に細心の注意を払い、また高齢者の方に対する様々な配慮を行っています。

人工膝関節
人工膝関節
術後レントゲン
術後レントゲン

術後の筋力アップと定期検診を忘れない

人工関節は、入れ替えればそれで完了ではありませんので、自分のものにしてうまく使っていくにはご本人の努力もかかせません。手術直後からのリハビリで筋力をつけることが重要です。

ある程度の運動は推奨しており、日常動作以外のトレーニングや軽いスポーツは筋力維持につながり、膝の可動域を広げるためにも有効です。

そして、定期的な点検検診をおろそかにしないことが肝心です。当院は、手術後も万全のフォローアップをさせていただきます。
 

安心安全な手術のために

心エコーで循環器チェック

手術による合併症で特に重要なのが、心循環器疾患、金属アレルギー、感染、静脈血栓によって引き起こされる問題です。異常を見逃さないために、手術前に胸部レントゲンや心電図だけではなく、心エコー(超音波)検査を受けてもらいます。

さらに必要な場合は、ホルター心電図や心臓カテーテルなどで精密検査も行い、循環器系の異常を見落とさないように注意しています。

金属アレルギーはパッチテストで

人工関節はコバルトとクロムの合金やチタン合金などでできていますから、含まれている金属にアレルギー反応を起こし発疹などが生じるケースもゼロではありません。

ネックレスでかぶれたことがある人には、あらかじめパッチテスト(皮膚貼布試験)などで検査をする必要があります。金属アレルギーがあることが分かれば、セラミック製など金属を全く使っていない人工関節を使うこともできます。

鼻腔粘液検査で保菌を確認

人工関節置換術の合併症で最も注意を要するのが感染です。その原因の80%が内因性の感染で、患者さんがもともと持っている菌が人工関節の周辺に移動して炎症を起こします。黄色ブドウ球菌などは抗生物質の投与で対処できます。

しかし、困るのは抗生物質が効かない耐性菌(MRSA)を保菌している場合です。そこで術前に鼻腔(びくう)粘液を採取し、培養してMRSAの有無を調べておくことが重要になります。保菌が分かれば鼻腔用軟こうで除菌することができます。

血栓症をエコー検査で防ぐ

手術後の静脈血栓塞栓(そくせん)症(VTE)にも細心の気配りが必要です。手術前に血液マーカーでチェックをし、エコー検査で血栓の状態を確認するだけではなく、手術後にも繰り返しエコー検査を行います。

手術翌日から血液をサラサラにする薬を投与するだけではなく、手術直後から血栓防止装具カーフポンプや、弾性ストッキングを装着して血栓の発生を防ぐ工夫をします。
 

当院の手術実績はこちら

人工膝関節置換術後のスポーツ

推奨されるスポーツ

  • ウォーキング
  • サイクリング
  • 水泳
  • ボーリング
  • ゴルフ
  • ゲートボール
  • カヌー
  • ハイキング
  • 社交ダンス
  • スピードウォーキング

許可されるスポーツ

  • テニス (ダブルス)
  • アイススケート
  • クロスカントリー
  • ボート
  • 乗馬
  • スキー
  • ダウンヒルスキー ※

※術前に経験がある場合


推奨されないスポーツ

  • ジョギング
  • サッカー
  • バレーボール
  • バスケットボール
  • フットボール