キーンベック病とは 

キーンベック病とは聞き慣れない病気かもしれません。どのような病気かというと、手首の関節(手関節)の中心に位置する月状骨(げつじょうこつ)という骨が何らかの原因により血行が悪くなり、骨(こつ)壊死(えし・骨が死んでしまう状態)となり、つぶれてきて、痛みがでたり、動きが悪くなる病気です。約100年前にキーンベックという人が初めて報告したためにキーンベック病と呼ばれています。

骨壊死を起こす原因はまだよくわかっていませんが、もともと月状骨に負荷がかかりやすい関節の形の人で、繰り返しのストレスがかかることによって起こると推測されています。また、テニス、ゴルフ、バレーボールなど手首に衝撃がかかるスポーツをしている人でも起こることがあります。

キーンベック病は放置しておくと少しずつ症状は進行していき、月状骨がつぶれて割れてしまうことがあります。そのような状態にまでになると、手関節の動きはかなり制限されてしまいます。

症状

手に力を入れて使う仕事、例えば大工さんや調理師さんなどで、手首の真ん中あたりの痛みがでてきて、しだいに手首の動きが悪くなり、握力も低下することがあります。そんな症状のときにはキーンベック病の可能性があります。

検査と診断

診断は、手関節の中心部分の痛みや腫れ、握力の低下などの症状の他、レントゲン写真をとることでわかります。ただし初期の段階ではレントゲンでわからないこともあり、その場合にはMRIを撮影することによって診断が可能になることがあります。

レントゲン写真に写る月状骨の形態によって病期の進行程度がわかります(ステージ1からステージ4まで)。リウマチで起こる関節炎と区別するため血液検査を追加することもあります。

治療法

進行していないごく初期の場合、ギプス固定やサポーターなどで安静にしてもらうことによって回復する場合もありますが(1〜3か月)、多くの患者さんが手を使う仕事をしているので現実的に安静をとるのは困難で、症状が改善しないか、進行する場合も多くみられます。

ステージ4まで進行してしまうと手術治療を行っても症状が改善しない場合があるので、患者さんの仕事の都合や症状の経過、レントゲン写真での進行程度をみながら、手術による治療をすすめています。

手術は進行の程度によってさまざまな方法がありますが、広く行われていて比較的安定した成績を得られる方法として、月状骨へのストレスを軽くする橈骨(とうこつ)骨切り術があります。

対策

早期に発見し、進行を予防することが大切です。キーンベック病はもともと多くみられる病気ではありませんが、当院では平均すると1年間に3人から4人の方が手術を受けています。主に橈骨骨切り術で良い治療成績が得られており、ほとんどの方が仕事やスポーツに復帰されています。

文:櫛田 学