変形性股関節症とは

股関節は、臼蓋(きゅうがい)という骨盤の丸いくぼみの中に、大腿骨頭(だいたいこっとう)というゴルフボールより少し大きい球状の骨がはまりこんだ構造をしています。

臼蓋の中を大腿骨頭が色んな方向に動くことで、歩いたり、しゃがんだり、あぐらをかいたりすることが出来るのです。また、関節の表面にはツルツルの軟骨があり、それによって関節は滑らかに動くことができます。

ところが、何らかの原因で徐々に軟骨がすり減ってくると、関節が滑らかに動くことができなくなり、痛みを生じるようになります。これが、変形性股関節症のはじまりです。そして、軟骨のすり減りが進んでくると関節の骨がゴツゴツと変形し、さらに強い痛みを伴うようになってきます。

日本人における変形性股関節症の原因の多くが、先天性股関節脱臼や亜脱臼、臼蓋形成不全といった生まれつきの異常だといわれています。つまり、もともとの臼蓋のくぼみが浅かったりして、大腿骨頭がくぼみにしっかり収まっていないために、関節の縁(ふち)に過度の負担がかかり、軟骨がすぐにすり減ってしまうのです。

頻度は女性に多く、発症して初めて病院を受診する人の多くが30~50歳代です。その他の原因としては、大腿骨頭壊死、脱臼や骨折といった外傷後、化膿性股関節炎後、代謝異常(痛風、偽痛風)などがあります。

症状

はじめは、立ち上がりや階段昇降のとき、長時間歩いたり重い物を持ったりしたときなどに股関節周囲の重だるさを感じるようになり、徐々に痛みも出てきます。膝の近くにも痛みを感じることがあります。

変形が進むにしたがって痛みは強くなり、夜中にうずいたりもしてきます。そして、関節の動きも悪くなってくるため、和式トイレなどでしゃがめなくなったり、あぐらをかけなくなったり、靴下の着脱や足の爪切りがしにくくなったりします。また、筋力が低下して、下肢の長さが短くなってくると、歩き方もよたよたしてぎこちなくなってきます。

検査と診断

レントゲン検査ですぐに診断することができます。関節の隙間がどの程度開いているかによって軟骨のすり減り具合を評価し、骨の変形の程度と併せて進行度を判定します。初期では軟骨がわずかに薄くなっている程度ですが、進行期になると軟骨は明らかにすり減り、骨がゴツゴツしてきます。末期になると関節の隙間は無くなり、骨がかなり強く変形した状態となります。

治療法

変形性股関節症は、放置していると徐々に進行してきます。治療法を選ぶ上で重要なのが、痛みの程度とレントゲン上の進行度です。まずは保存療法を行ってみて、それでも改善しない場合には手術療法を行います。

保存療法(手術しない治療法)

日常生活での股関節への負担を減らすための生活指導を行ったり、運動療法や温熱療法、鎮痛剤や湿布の処方を行ったりします。歩くときには体重の2~5倍の力が関節にかかりますので、ダイエットすることが何よりも一番大切です。

また、重い物を持つのはひかえ、買い物などではできるだけカートを使うようにします。外出の際は車や自転車を利用し、階段よりもエレベーターやエスカレーターを使うようにして、なるだけ長歩きをしないようにします。歩くときには運動靴を履いて、できれば杖をついたりします。

運動療法によって股関節周囲の筋肉が鍛えられ、関節を安定させる効果があり、ダイエットにもなります。そこで、股関節にあまり負担のかからない、プールでの水中運動がおすすめです。ただし、痛みが強いときは運動をひかえ安静にしておきます。

手術療法

保存療法で改善がみられない場合には手術療法を行います。
現在当院で行っている代表的な手術方法をご紹介します。

寛骨臼移動術

臼蓋形成不全のある股関節を長持ちさせるために行う手術方法です。人工関節をするほど進行していない初期までの股関節症に対して行います。寛骨臼をくり抜くように切って、大腿骨頭の上にかぶせるように移動します。

人工股関節置換術

関節の傷んだ部分を取り除いて人工関節に入れ替える手術です。進行した股関節症に対して行います。術後はすぐに歩く練習をはじめ、1ヶ月もすれば退院できるようになります。

当院では、年間100例超の人工股関節置換術を行っており、豊富な経験と知識を持って治療しております。気になる症状があれば、遠慮なく外来担当医にご相談下さい。

文:真鍋 尚至