肩関節前方不安定症とは


症状

肩関節前方不安定症になると、衣類の脱着や寝返りの動作、後ろへ手を伸ばしたりするたびに“肩が外れそう”な感覚に襲われて痛みが出ますが、しばらく安静にすれば治まります。脱臼してしまった場合は自己整復できないことも多いので、その都度病院へ行って整復してもらう必要があります。

検査と診断

まず外来初診時には、不安定性をみる徒手検査のほかに、単純レントゲン検査にて骨の状態を調べます。
骨に異常が疑われる場合にはCT検査を行います。

さらに詳しく調べる必要がある場合はMRI検査を行いますが、なかでも、最も正確に診断できるのがMR関節造影検査です。これは、MRIを撮影する直前に関節内に液体を注入しておくことで、通常のMRI検査よりも損傷部分をより正確に描出することが可能となりますので、肩関節前方不安定症が疑われる場合は必須の検査となります。

肩関節前方不安定症の病態は、関節の前下方を支えている関節唇や靱帯を含む関節包が損傷(バンカート病変)していることですので、MR関節造影にてその損傷が認められれば診断することができます。

治療法

(亜)脱臼を繰り返したり、肩の不安定感が持続したりしている場合には、保存療法で根治させることは困難ですので手術療法を行うのが原則です。以下は当院で行っている主な手術方法です。

鏡視下バンカート修復術

初回手術としては鏡視下バンカート修復術を第一選択として行います。肩関節内の損傷した部分(バンカート病変)を内視鏡を用いて修復します。関節の縁の骨に糸の付いたアンカーを数個打ちこんで、関節唇を縫合・固定します。

Bristow変法

ラグビーや柔道などの激しいコンタクトスポーツを行う選手や、骨欠損の大きな場合、鏡視下バンカート修復術後に再脱臼した場合などに行う手術方法です。内視鏡は用いずに8~10cm程度の皮膚切開を行い、肩甲骨の烏口突起という骨の突起を切り離し、関節の縁にスクリューで固定します。

入院は少なくとも10日間程度は必要で、その後も長期間のリハビリが必要となります。スポーツ復帰はおよそ術後6ヶ月です。

文:真鍋 尚至