片側仮骨延長法による脛骨骨切り術について


■ 手術方法

腰椎麻酔(腰から針を刺し下半身だけに効く麻酔)で行います。
まず脛骨(すねの骨)の上下に2本ずつネジを挿入します。
膝関節に近い方は前後に、足関節に近い方は上下に入れます。ネジが入れ終わったら骨切りを行います。膝関節に近い方のネジの2㎝くらい下に2〜3㎝皮膚を切開し、骨の内側だけにノミをいれ、外側の骨は残すようにしながら行います。この後、特殊な創外固定器を脛骨の内側に装着して手術終了です。

■ 手術後

手術の翌日より歩行器歩行で体重をかけられます。
徐々に痛みが引いてくれば松葉杖で歩きます。
手術後1週より固定器を少しずつ延長していきます。延長は1日1㎜を4回(9時、13時、17時、21時)に分けて行います。この操作でO脚が徐々に矯正されていきます。すなわち手術で矯正するのではなく、術後、患者さん自身の操作により矯正を行うわけです。定期的にX線を撮影しながら、目的とする角度に矯正できたら延長は終了です。延長終了時にはX線で脛骨の内側が少し開いた格好になっています。この部分に骨ができるのを待つ期間が必要です。この期間はだいたい延長にかかった期間くらいですが、個人差があります。しっかり骨ができたことを確認して、骨に刺さっているネジを抜きます(抜釘)。抜釘は局部麻酔でできます。(クリニカルパス参照)

■ 利点と欠点

この方法の利点は手術で一期的にO脚を矯正するのではなく、徐々に矯正していくことで、過不足なく(矯正が足りなかっり、大きすぎたりせずに)いい格好にできる点です。また骨切り部は創外固定器でしっかり固定されるため、ギプスに入ることなく、歩いたり、膝の屈伸が行えるため、膝の曲がりが悪くなったりすることがありません。
欠点はすねの内側に創外固定器がつけられる点です。ネジが皮膚から出ていることのよる感染の危険性があるため、消毒、ガーゼのつけかえが必要です。
また骨のできにより長期間(約80日)固定器をつけたまま生活しなければなりません。

■ 入院期間

入院期間は手術前数日より入院していただき、延長終了(O脚の矯正が終わるまで)までは基本的に入院で行います。患者さんによっては延長手技に問題がなければ延長中から外来でのつけかえ、X線撮影でも可能です。延長終了後は、つけかえと骨のでき具合をX線でみるだけなので、外来で行えます。
自宅に帰ることが不安な方は抜釘まで入院もできます。延長終了までが約30日、抜釘までが約80日ですが、O脚の程度、骨のでき方で個人差はあります。

当院では1999年よりこの方法を導入し、これまで(2003年12月現在)約100例に行ってきました。自分の骨の形成によりO脚矯正を行うため、患者さんへの侵襲(傷つける組織)が少なく、比較的安全に行えるため、患者さんの満足度も高い方法といえます。
なお現在、当院にはこの創外固定器を14台保有して
おりますが、患者さんのニーズも多く、固定器の順番を待っている状態です。

【 図1 】
脛骨骨切り術の手術時
【 図2 】
脛骨骨切り術の延長終了時
【 図3 】
脛骨骨切り術の抜釘時

文:松田 秀策