前十字靭帯(ACL)再建術後のリハビリテーションについて

当院の前十字靱帯再建術の手術実績

当院では前十字靱帯再建術(ACL再建術)を毎年80件ほど行っており、多くの手術実績があります。

手術前後のリハビリテーションに理学療法士も関わらせて頂いております。
医療は日々進歩しており、最新・最良の医療を提供できるよう日々研鑚を行っております。

前十字靱帯再建術の手術件数

手術から競技復帰までの流れ

手術前のリハビリテーション(手術に向けての取り組み)
  • 手術に向けて、膝関節の可動域の獲得や、筋力が落ちないように運動を問題ない範囲で行っていきます。
  • 手術前には、理学療法士による評価(膝関節の筋力、関節可動域、感覚、痛みなど)を行い、手術前の状態を確認しておきます。
  • 手術前のリハビリテーションは、原則当院で実施していますが、当院への通院が困難な場合には紹介元やご近所のクリニックにお願いしています。
入院中のリハビリテーション(手術日翌日~手術後3~4週)
  • 手術日翌日よりリハビリテーションを開始します。
  • 入院期間は、松葉杖が外れスムーズに歩けるようになる3~4週程度を予定しております(以下の表をご参照ください)。
  • 患者さんのご予定にあった入院期間も設定することが可能ですので主治医へご相談ください。
入院中のリハビリテーションの内容
時期 歩行 膝の曲げ伸ばし エクササイズ
術後翌日 歩行器歩行 固定(膝10°固定) 足部・足趾の運動
大腿四頭筋の運動
術後1週 両松葉杖歩行
術後2週 片松葉杖歩行 屈曲90°まで制限なし ハーフスクワット
ミニランジ
ヒールレイズ(踵上げ)
スケーティング
レッグカール(自重より開始)
術後3週 杖なし歩行 制限なし サイドウォーク
エアロバイク
術後4週 ニーベントウォーク
段差昇降(10cm段より開始)

※患者さん・選手個人によって弱い部分が異なるので、当院では上記の運動メニューに加えて個人個人にあったメニューも各自追加しています。

退院後のリハビリテーションの大まかな流れと許可基準
時期 運動メニュー 許可基準
(※基準を満たした場合、左枠の運動を追加しています)
術後3ヶ月 ジョギング(1~3割)
ツイスティング
膝関節筋力が7割改善している
膝の痛み軽度である
膝関節の可動域、腫れが改善している
術後4ヶ月 ランニング(4~6割)
アジリティー
カッティング
ピボット
背走・円走
術後5ヶ月 ランニング(6~9割)
ダッシュ(加速走)
ハーフジャンプ
術後6ヶ月 フルジャンプ
競技復帰
(非対人プレーより開始)
膝関節筋力が8割改善している
ホップパフォーマンスが8割改善している
運動することへの恐怖心がない
痛みがない
術後9ヶ月 競技完全復帰 膝関節筋力が9.5割改善している
ホップパフォーマンスが9割改善している
運動に対する恐怖心がない
痛みがない

競技別の復帰の流れ

各スポーツのスケジュールを挙げさせて頂きます。ご参照ください。

バスケットボール
術後1ヶ月~ ボールハンドリング
フリースロー(ジャンプなし)
術後3ヶ月 ドリブル
パス(ショートより開始)
ミート(3か月半~)
術後5ヶ月 レイアップ
術後6ヶ月 非対人プレー許可
(ジャンプ、カットイン、三角・四角パス、スクリーンアウト、リバウンド等)
術後7ヶ月 2~5メン
術後9ヶ月~1年 対人プレー許可
完全復帰
サッカー
術後3ヶ月 リフティング
基本練習(その場、ショートより開始)
術後4ヶ月 コーンドリブル
ドリブル
ショートパス~ペナペナ間
(サイド、インステップ追加)
術後5ヶ月 ミドル~ロングキック
シュート練習
術後6ヶ月 非対人プレー許可
ジャンプ
術後9ヶ月~1年 対人プレー許可
完全復帰
バレーボール
術後3ヶ月 パス(オーバー・アンダー)
サーブ(その場、ジャンプなし)
術後4ヶ月 レシーブ
アタック(ジャンプなし)
術後5ヶ月 サーブカット
術後6ヶ月 非対人プレー許可
(ブロック、アタック、滑り込み等)
術後8ヶ月 スパイク
コンビ(スパイク、セッター)
術後9ヶ月~1年 対人プレー許可
完全復帰

※当院では、その他にハンドボール・バトミントン・ラグビー・野球・柔道・格闘技・水泳・テニス等、競技ごとのメニューを組んでおります。競技別のメニューに関しては担当セラピストへご相談ください。

文責 リハビリテーション科 藤田 慎矢