足底腱膜炎とは

どのような症状か

朝起きて歩こうとした時、最初の1歩目でピリッとかかと踵の内側(図1)に痛みが走り、辛かったことはありませんか。

その後、動いていると徐々に痛みが和らぎ、また夕方になって痛みが出てきたり、階段を昇る時やつま先立ちなどで痛みが出てきたりします。

スポーツをされる方も同じように、ランニング開始時に痛みがあり、途中は痛みが和らぎ、長時間走っていると痛みが強くなったりします。腫れ・発赤・熱感などの炎症症状はほとんどみられません。中年の女性の方やスポーツ愛好家に多い傾向があります。

▲図1

原因

足底腱膜は立ったり、歩いたり、走ったりする際に大切な役割を果たします。また足の縦アーチを保持する役割も担っています。

踵の骨につく部分(付着部)には、歩いたり、走ったりする際、着地時の荷重による衝撃(圧迫力)や牽引力(引っ張る力)などの強いストレスがかかります(図1)。そのため、長時間の立ち仕事や歩行、体重増加、靴の不適合、スポーツによる使いすぎなどが主な原因とされています。

その付着部に繰り返しストレスがかかることにより発症します。もちろん加齢による足底腱膜自体の変性(老化)も関係しています。

診断方法

足底腱膜の付着部を押すと痛みが誘発され、また長時間の立位、走行、歩行、歩行開始時のいずれかに痛みが生じる場合に診断します。

レントゲン写真では踵に小さな骨の棘のような変化(図2)があったりしますが、必ずしも症状とは関係ないことがあるので、診断の決め手とはなりません。MRIでも変化を示すことがありますが、他の疾患との鑑別に役立ちます。

▲図2

治療方法

治療法には「保存療法」と「手術療法」があります。基本的には、まず保存療法から行います。痛みが強いとき(急性期)に大切なのは、痛みのある部分の安静です。

下記に示すような方法で症状に応じて治療していきますが、痛みが出るつま先立ちなどの動作を控え、スポーツをされる方は、ランニング・ジャンプなどの動作を禁止・制限することが必要です。そうすることで大部分の方は軽快しますが、中には再発や慢性化する方もいます。

保存療法

装具療法 足底板(アーチサポート・インソール)

靴の中敷きのことで、図3に示すように、痛みのある部分に凹みをつけて圧迫による痛みを防ぎます。

▲図3

ストレッチングなど

図4に示すように、アキレス腱と母趾(親指)を十分に伸ばします。

▲図4

薬物療法 消炎鎮痛剤の服用・塗り薬など

注射:痛み止めとステロイドの入った薬液を、痛みのある部位に直接注射します。

※最近は自分自身の血液を採取し、それを加工したPRP(多血小板血漿)の注射が注目されています。

手術療法

数としては少ないのですが、重症の場合や保存療法で軽快しない場合には、足底腱膜の付着部を切り離す方法、骨棘を切除する方法があります。

日常の対策や予防法

転んだり、ぶつけたりすることなどで急に痛みがでる外傷(怪我)と違って、足底腱膜の変性・日常生活動作やスポーツ動作による使いすぎなど、時間をかけて徐々に症状が出てくる疾患です。

今までの生活のなかで痛みがでる動作は避けて無理をしないことや、スポーツ活動を制限することなどが大切です。症状がとれて楽になるまでには個人差がありますが、1~2週間で楽になることはほとんどなく、2~3か月程度はかかることが多いようです。焦らずじっくりと治療することが必要です。

もし痛みが半年以上続く場合や、痛みがどんどん強くなる場合には、手術が必要となることもありますが、実際には手術に至る方はまれです

文:宮城 哲