モートン病とは

どのような疾患なのか

男性に比べて中年以降の女性に起こりやすい疾患です。以前は欧米に多い疾患と言われていましたが、外反母趾と同様に、生活の欧米化やこの疾患の認識が広まったことにより、最近では日本でも増加傾向にあります。

年齢を重ねていきますと、徐々に足の変形(扁平足や足の横幅が広くなる開張足など)を生じてきます。それに加えて、中腰での作業、つま先立ちの格好を長時間行う、ランニングを頑張りすぎる、ハイヒールの常用などによって、足趾(足の指)に行く神経が圧迫されやすくなります。

足趾の付け根の関節(MTP関節:中足趾節関節)には、隣り合う中足骨どうしをつないでいる靱帯(深横中足靱帯)があります。そのすぐ足底部(足の裏側)を神経が通過するため、この靱 帯と地面の間で圧迫されて生じる神経障害です。圧迫部の近くには仮性神経腫といわれる、痛みのある塊が形成されることもあります。

どのような症状があるのか、また原因は

個人差はありますが、第3-4趾間(第3趾(中指)と4趾(薬指)の向かい合う側)のしびれ、痛み、焼けつくような感じなどの神経症状が出現します。足趾のつけ根の裏側に小さな痛みのある瘤のような塊(仮性神経腫)を訴えて来院することもあります。

障害部位は、第3- 4趾間に最も多く、第2-3、4-5趾間のこともあります。また、時にはふくらはぎあたりまで痛みが及ぶことがあります。

原因としては、先ほど述べた年齢による足の形の変化に加えて、つま先立ちをする格好を長時間続ける、ランニングをやり過ぎる、ハイヒールの常用などで起こりやすくなります。圧迫による障害と炎症による障害のために、さらに痛みやしびれを悪くします。

検査と診断

モートン病は比較的診断が難しい疾患です。圧迫された神経の足趾間に感覚障害があり、隣りあう中足骨の先端の間に痛みのある瘤のような塊と、それと同じ場所にティネルサイン(神経傷害部をたたくとその先に痛みがひびく)があれば診断はほぼ確定できます。

また、足趾を背屈(上に曲げる)するか、つま先立ちをすると痛みが強くなります。また横から第1趾(親指)と第5趾(小指)を挟み込むようにすると痛みが強くなることもあります。

診断には、まずX線(レントゲン)検査が行われます。それには異常がないことが多いのですが、他の疾患との鑑別に必要です。確定診断にはMRI検査、超音波検査などがあり、神経の腫れ(仮性神経腫)が見つかれば診断が確実になります。筋電図検査もありますが、少し特殊な検査で、必要に応じて行います。

治療方法

まず、原因となる神経への圧迫を減らす工夫をします。足底挿板(アーチサポート・靴の中敷きのような装具)を用いた保存的治療が主な方法です。足底挿板は装具技師に依頼し、自分自身の足の形に合わせて作ります。

痛み止めなどの注射を何回か行うと改善することもあります。3か月ほど様子を見て症状が回復しないものでは、手術が必要になることもあります。

保存療法(手術しない治療法)

痛みのある部位の安静(つま先立ちなど痛みの出る動作は控えること、作業時の足の格好に注意すること、ハイヒールの禁止など)、消炎鎮痛剤の内服、足底挿板、運動療法、ブロック注射などがあります。


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手術療法

手術としては、神経の圧迫を除く手術、傷んだ神経を取り除く手術があります。神経剥離、神経腫摘出、深横中足靱帯を切り離す手術などです。神経を取り除く手術の方が多いようです。

手術では傷んだ神経を取り除くわけですから、その先の感覚はなくなります。時には強い違和感を残すことがありますが、徐々に軽くなっていくようです。手術するには入院が必要です。

約1週間程度の入院で、つま先当たりに痛みがある間は踵をついて歩行します。術後2週間程度で痛みも和らぎ、つま先にも体重をかけて歩くことができるようです。

詳しくは整形外科医にご相談ください。