腰椎椎間板ヘルニアに対する新しい治療法
腰椎椎間板ヘルニアは、幅広い年齢で発症する身近な疾患で、もしかすると読んでいるあなた自身やご家族も経験されたことがあるかもしれません。
これまでの治療法としては、内服薬やブロック注射などの保存的治療、手術であるヘルニア摘出術が挙げられますが、新たな治療法として低侵襲なコンドリアーゼ椎間板内注入療法が登場し、当院でも2018年11月から導入し、現在までに100例を超える症例を経験しています。
コンドリアーゼ椎間板内注入療法とは
コンドリアーゼ(薬品名ヘルニコア)は、椎間板の中心部にある髄核という部分に作用し、その保水能を低下させることで圧力を減少させヘルニアを退縮させる薬剤です(図1)。
腰椎椎間板ヘルニアと診断され保存的加療を行うも効果が不十分な場合など、これまでであれば手術に至る症例の治療法としてヘルニコアが選択肢となります。手術とヘルニコアの場合分けは、手術の方がより効果が確実ですが入院期間が長く、ヘルニコアは日帰り入院ですが確実性は手術よりは劣る、といったメリット・デメリットを考慮して決めています。

図1
治療の流れ
まず外来でヘルニコアの適応であることを確認し、手術とヘルニコアの両方について説明します。ヘルニコアをご希望された場合は、その日に手術日を決めることもできます。
基本的には日帰り入院で、午前10時頃に入院して準備を行い、午後1時頃に手術室でレントゲンを見ながら主治医が局所麻酔を行い、椎間板に針を刺しヘルニコアを注入します(図2)。およそ5分の手術を終えたら、手術室と病棟で計3時間の経過観察を行い、副作用がなければ同日退院します。

図2
ヘルニコアの効果
これまでヘルニコアを施行した100例の結果をまとめると、投与後1ヵ月で下肢の痛みが半減以下に改善したのが約50%で、投与後3ヵ月では約70%でした。また、半減していなくても投与後1ヵ月で効果を認めたのが約70%で、投与後数日以内に即効性を実感できた症例が過半数でした。傾向としては、年齢が若い、罹病期間が短い、症状が強いほど、より効果を認めました。
どのような症例に効果があるのかはまだ明確ではなく、手術と比較すると奏効率はやや劣ります。また、一生のうち1回のみしか投与できません。しかし、日帰り入院で針の穿刺のみでの治療であり、体も社会的にも負担は少なく低侵襲な治療と言えます。もし興味がある方は主治医に相談してみてください。
整形外科医師
富永 冬樹
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会 指導医